2022年12月06日18時00分 発表
本日、第151回火山噴火予知連絡会において、前回(第150回、令和4年7月5日)以降の全国の火山活動について以下のとおり評価を行いました。
また、参考として気象庁が発表している噴火警報・予報(噴火警戒レベル)についても併せてお知らせします。
【火山活動の状況】
桜島
南岳山頂火口では、7月中旬から噴火活動が活発となっています。
火山ガス(二酸化硫黄)の1日あたりの放出量は、7月以降増加し、概ね多い状態で推移しています。
姶良カルデラ及び島内の地盤変動には、大きな変動は認められません。
姶良カルデラ(鹿児島湾奥部)の地下深部では長期にわたり供給されたマグマが蓄積した状態と考えられ、火山ガス(二酸化硫黄)の放出量も概ね多い状態であることから、現在噴火活動がみられる南岳山頂火口を中心に、引き続き活発な噴火活動が継続すると考えられます。
【参考】火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)発表中
諏訪之瀬島
御岳(おたけ)火口の噴火活動は、9月下旬から10月中旬にかけて一時的に活発化したものの、2022年4月中旬以降、低下しています。
地殻変動観測では、6月頃から諏訪之瀬島西側のやや深部におけるマグマの蓄積量の増加を示すと考えられる変動が観測されています。また、島の西側を震源とするA型地震が5月頃から増加しています。2019年から2020年にかけても同様の活動がみられ、その後噴火活動がさらに活発化しました。
諏訪之瀬島では、今後も噴火が発生し、火口から概ね2kmの範囲に大きな噴石が達する可能性があります。
【参考】火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)発表中
西之島
10月1日から12日にかけて噴火が確認されましたが、溶岩の流出は認められていません。西之島の地表面温度は、3月中旬頃から島の周囲と比較してわずかに高い傾向となっており、火山活動は継続しています。これまでの活動経緯を考慮すると、今後、火山活動がより活発化する可能性もあります。
【参考】火口周辺警報(入山危険)発表中
海徳海山
8月から、変色水等が確認されています。今期間、認められた変色水は、火山活動の活発化を示していると考えられます。今後、噴火が発生する可能性がありますので、火山活動の推移に注意が必要です。
【参考】噴火警報(周辺海域)(周辺海域警戒)発表中
硫黄島
7月上旬から8月上旬にかけてと10月前半に翁浜沖で小規模な噴火が発生し、新鮮なマグマが噴出したと推定されます。GNSS連続観測では、島全体の隆起を示す地殻変動が長期的に継続しており、地震活動、噴気の状態もやや活発な状態が続いています。このような中でマグマの噴出が初めて観測されたことから火山活動が高まる可能性もありますので、今後の火山活動の推移に注意が必要です。
【参考】火口周辺警報(火口周辺危険)発表中
薩摩硫黄島
火山性地震や火山性微動の発生状況に特段の変化はありません。火山ガス(二酸化硫黄)放出量は1日あたり1,000トン前後の状態が継続しており、時折噴煙が高くなるほか、夜間に火映を観測しています。長期的には熱活動が高まった状態が続いていることから、硫黄岳火口周辺に影響を及ぼす程度の噴火が発生する可能性があります。
【参考】火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)発表中
焼岳
山頂付近の微小な地震活動や、山頂付近での緩やかな膨張の可能性のある変化は継続しています。また、焼岳周辺では数年おきに震度1以上を観測する地震を含む活発な地震活動がみられます。中長期的に焼岳の火山活動は高まってきている可能性がありますので、今後の火山活動の推移に注意が必要です。
【参考】噴火予報(噴火警戒レベル1、活火山であることに留意)発表中
鶴見岳・伽藍岳
伽藍岳付近では、7月8日に浅い所を震源とするA型地震が一時的に増加しました。翌9日以降は少ない状態となっています。
鶴見岳では火山性地震は少ない状態で経過しましたが、鶴見岳付近が震源と推定されるB型地震が時々発生しています。
地殻変動観測では、特段の変化は認められません。
現時点では噴火の兆候は認められませんが、火山活動の推移に留意が必要です。
【参考】噴火予報(噴火警戒レベル1、活火山であることに留意)発表中
霧島山(新燃岳)
新燃岳では、火口直下を震源とする火山性地震が2022年3月27日に多い状態となりましたが、その後は増減を繰り返しながら次第に減少し、7月下旬以降は少ない状態で経過しています。
新燃岳火口内及び新燃岳西側斜面の割れ目では、噴気活動や地熱域の状況に特段の変化は認められません。
火山ガス(二酸化硫黄)の放出量は検出限界未満で経過しています。
GNSS連続観測では、2021年12月以降、霧島山の深い場所でのマグマの蓄積を示すと考えられる基線の伸びがみられていましたが、7月頃から停滞しています。また、新燃岳付近の膨張を示すと考えられる基線のわずかな伸びは、6月以降停滞しています。
現時点では噴火の兆候は認められませんが、今後の活動の推移に留意が必要です。
【参考】噴火予報(噴火警戒レベル1、活火山であることに留意)発表中
口永良部島
新岳火口では、2020年8月30日以降、噴火は観測されていません。
火山性地震は4月以降概ね少ない状態で経過していましたが、7月30日から31日にかけて古岳付近の浅い所が震源と推定される地震が一時的に増加しました。8月1日以降は概ね少ない状態となっています。火山ガス(二酸化硫黄)の放出量は概ね50トン以下と少ない状態で、検出限界を下回ることもあります。GNSS連続観測では、2021年5月以降、特段の変化は認められません。
口永良部島では、火山活動は低下しており、火口周辺に影響を及ぼす噴火が発生する可能性は低いと考えられます。
【参考】噴火予報(噴火警戒レベル1、活火山であることに留意)発表中
【防災上の警戒事項等】