2023年10月27日16時00分 発表
<火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続>
10月23日から27日15時までの桜島の活動状況をお知らせします。南岳山頂火口及び昭和火口から1kmを超えて飛散する大きな噴石や小規模な火砕流を伴う噴火が発生するおそれがあります。
【火山活動の状況】
桜島では、島内に設置している傾斜計及び伸縮計で、昨日(26日)00時頃から山体の膨張を示す地殻変動が観測されていました。しかし、ごく小規模な噴火の断続的な発生により、昨日14時頃から緩やかな収縮に転じ、現在ではその膨張は概ね解消したものとみられます。
桜島では、活発な噴火活動が続いています。
南岳山頂火口では、噴火が3回発生しました。24日03時46分の噴火では、噴煙は火口縁上3400mまで上がりました。弾道を描いて飛散する大きな噴石は6合目(南岳山頂火口から約1200m)まで達しました。また、同火口では、期間を通して夜間に高感度の監視カメラで火映を観測しました。
昭和火口では、噴火及び火映は観測されていません。
火山性地震は少ない状態で経過しています。火山性微動は主に噴火に伴って発生しました。
24日に桜島島内で実施した現地調査では、黒神町で24日03時46分から04時30分頃まで継続した噴火によると思われる多量の降灰を確認しました。
25日に実施した現地調査では、火山ガス(二酸化硫黄)の放出量は1日あたり2200トン(前回16日、4200トン)と多い状態でした。
25日に航空自衛隊航空救難団春日ヘリコプター空輸隊の協力により実施した上空からの観測では、以前(2023年3月8日)の観測と比較して、昭和火口内北側の火孔がやや拡大しているのを確認しました。南岳山頂火口では、火口底で高温の地熱域を確認しました。また、両火口周辺の状況に特段の変化は認められませんでした。
GNSS連続観測では、桜島島内の一部の基線で2023年1月頃から山体膨張に伴うとみられるわずかな伸びが認められていましたが、4月頃から停滞しています。また、姶良カルデラ(鹿児島湾奥部)を挟む基線では、長期にわたり姶良カルデラの地下深部の膨張を示す緩やかな伸びがみられています。
桜島では、姶良カルデラ(鹿児島湾奥部)の地下深部にマグマが長期にわたり蓄積した状態であり、火山ガス(二酸化硫黄)の放出量も概ね多い状態であることから、南岳山頂火口や昭和火口において今後も噴火活動が継続すると考えられます。今後の火山情報に注意してください。
火山性地震、爆発の回数は以下のとおりです。なお、火山性地震の回数は速報値であり、精査の結果、後日変更することがあります。
火山性地震 爆発
10月23日 6回 0回
24日 4回 0回
25日 7回 0回
26日 10回 0回
27日15時まで 1回 0回
【防災上の警戒事項等】
南岳山頂火口及び昭和火口から概ね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石及び火砕流に警戒してください。
風下側では、火山灰だけでなく小さな噴石が遠方まで風に流されて降るため注意してください。
爆発に伴う大きな空振によって窓ガラスが割れるなどのおそれがあるため注意してください。なお、今後の降灰状況次第では、降雨時に土石流が発生する可能性がありますので留意してください。
次の火山の状況に関する解説情報は、30日(月)16時頃に発表の予定です。
なお、火山活動の状況に変化があった場合には、随時お知らせします。